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業務の流れ(寺院・神社)

ここでは、事業を進めていく中での弊社の業務をご紹介致します。

弊社の仮選定:ご契約前に弊社ができること

事業を進めていく目途がつくまで(例えば、建設準備委員会や建設委員会で承認を受けるまで)は、ご事業が中止になる可能性も考慮し、なるべく余計な費用の支出は抑えたいことと思います。弊社ではそのようなご寺院様の事情を考慮し、弊社との間で設計監理契約を締結していただくのが難しいという場合は、総代会等で弊社を仮選定していただきます。仮選定により、弊社がご住職を正式にサポートできる体制ができ、事業計画を円滑に進めていくためのワンステップとなります。

弊社から業務報酬料のお見積もりをご提出いたします。業務報酬料は、建築の種類・構造・規模などによって異なります。関係法令に基づく諸手続き費用、地盤調査費用、敷地測量費用など必要な費用は基本的に全て含んでお見積もりいたしますが、別途費用がある場合は、きちんと明示してご説明いたします。ご提出したお見積りはこの時点での目安ですので、ご契約の時点で、ご相談の上、再提出させていただきます。

弊社が提出したお見積りでよろしければ、仮選定していただきます。仮選定後、構想段階における計画図作成、概算費用算出、会議への出席等は無償でお手伝いいたします(遠隔地の場合は、交通費の実費をご相談させていただく場合がございます)。ただし、パース図の作成は、実費(外注)精算とさせていただいております。弊社が設計した建物へのご見学もいつでも承っております。

計画をするためには、境内の現況測量調査と現況配置図作成が必要になります。建物、排水溝、境内の参道や石碑等の工作物、樹木等の位置や高さを測量して、配置図を作成する作業(隣地境界確定や杭打ち等を除く)です。お知り合いの測量士さん等にご依頼いただいても構いませんが、おそらく多くの費用と時間が必要になると思います。そのため、弊社では、有償にはなりますが、早く安価に行うために、建築計画に必要な測量調査と配置図作成を自社で行っております。もし、他の設計事務所にご依頼された場合は、別途、測量士等に依頼(外注)することになると思います。この測量調査と配置図作成の費用だけでも、ご寺院様にとって費用的に大きなメリットになると考えております。ご要望があれば、ついでに墓地の測量も行います。

地盤改良工事の概算費用も算出したい場合は、別途、地盤調査費用が必要となります。地盤調査費用は実費(外注)精算とさせていただきます。正確性は落ちますが、現段階での地盤調査は行わずに、周辺地域の地盤データを参考にして想定で概算費用を算出することもできます。

測量調査及び配置図作成、パース図作成、地盤調査の費用のお見積りは事前にご提出させていただきます。

設計監理契約

事業を進めていく目途がついた時点(たとえば建設委員会の設立後)で、常任建設委員会で、弊社から契約に関する重要事項をご説明し、弊社との間で設計監理契約を締結していただきます。

事業の計画概要、工事工程、事業費概算予算等について説明し、弊社から契約に関する重要事項や契約約款の説明をした後、建設委員長等の立会いのもとで宗教法人の代表役員であるご住職とご契約をいたします。稀に、契約人はご住職と建設委員長の連名という場合もあります。

設計監理一式の契約だけではなく、調査企画、基本設計、実施設計、監理、耐震診断、マスタープラン作成など各業務をお客様のご都合に合わせて個別に契約させていただくことも可能です。

契約約款は、一般的に使用されている四会連合協定の「建築設計・監理業務委託契約約款」を使用し、必要に応じて別途特約を記載します。万が一、弊社の設計に瑕疵があった場合の保証のために、弊社は建築士事務所賠償責任保険に加入しております。

お支払い条件は、随時ご相談とさせていただいております。一般的には、契約時、設計完了時、工事中間時、工事完了時などで分割してお支払いいただいております。

事業を進めるにあたって、土地の登記・分筆、隣地境界確定・杭打ち、埋蔵文化財の発掘調査の手続き、仏具や什器備品の修理・購入、敷地内の樹木の伐採などが必要となってくる場合があります。これらに関する関係者との打合せや業者選定などは、設計監理業務の一貫として無償でトータルサポートいたします。

調査企画

基本設計の前段階として、既存の建物、敷地測量、地盤、周辺環境の条件(道路、上下水道、都市ガス、電柱、隣地境界、敷地高低差等)、関係法令などの調査を行って企画をいたします。

耐震診断(必要に応じて)

耐震診断は、昭和56年以前の建物は耐震診断を実施することをお勧めしております。より安全に建物を使用することができ、長期的な建物の維持管理にも役立ちます。調査や耐震診断の方法は建物の構造・規模・用途等によって異なりますので、無償でお客様のもとへお伺いし、建物の現況を拝見後、必要な調査を検討し、業務報酬料のお見積りをご提出させていただきます。木造以外(鉄骨や鉄筋コンクリートなど)の建物で、構造図・構造計算書・建築確認証・検査済証などが無い場合は、通常よりも調査費用や時間を要します。

現地調査として、建物の実測、材料や仕上げの確認、基礎・壁・屋根などの損傷状況の確認、柱の傾斜や基礎の沈下の測定などを行います。お客様には建物の改修履歴などの聞き取りをいたします。必要に応じて、地質調査なども行います。木造以外の場合には、非破壊検査・コア抜き調査・強度調査なども行います。現地調査に基づき、調査結果の整理・調査図の作成・耐震診断を行います。

調査・診断結果や総合的な所見を記載した耐震診断報告書をご提出いたします。耐震補強や建物の修繕が必要な場合には、補強案・修繕案・概算工事費用・設計監理の業務報酬料のお見積りも合わせてご提出いたします。

マスタープラン作成(必要に応じて)

マスタープラン(境内全体計画)作成は、予定事業終了後に、新たな整備や建築予定がある場合、境内全体の将来像を模索したい場合等にお勧めしております。将来にわたるご寺院の発展や護持のために、本堂、客殿、山門、庫裏等の建物、庭園、参詣用駐車場等の施設について、利便性や維持管理等に考慮して計画的に整備していくことが必要です。

基本設計

基本設計とは、ご住職のご要望や関係法令等の諸条件を整理して、性能、仕様、設備等の概要やおおまかな工事費をまとめ、お客様のイメージを形にしていき、平面図、立面図、断面図、完成予想図等を作成する作業です。建設予定の建物だけではなく、敷地全体の将来像も十分考慮して計画いたします。

基本設計の段階では変更はいくらでも出来ますが、実施設計に入ると大幅な変更は難しくなります。概算工事費を算出し、建築工事の予算額を考慮しながら調整していきます。

基本設計の最終段階では、常任建設委員会に諮り、基本設計の内容の承認をうけます。工事業者の選定や入札方法等も決定するのが良いです。

実施設計・建築確認申請

実施設計とは、基本設計をふまえて、細部にわたる丁寧な検討やご予算に合わせた合理的な構造や材料などの選定をして、詳細な設計をする作業です。建築図、構造図、電気設備図、機械設備図(給排水、空調換気設備図等)、避雷針設備図等の設計図一式、工事費予算書(予定価格)、木材調書、仕様書等を作成いたします。

実施設計と並行して、建築確認申請、開発許可申請などの関係法令に基づく各種手続きを行います。建築確認申請は、新築だけでなく、改修や増改築でも必要となる場合があります。

工事入札参加業者の選定

実施設計により作成した設計図書等を複数の工事業者に渡して見積もりしてもらうことにより、同一条件のもとで複数者に見積もりを依頼(競争入札)でき、希望価格(最低価格)の建築を実現できます。公正な競争入札を行うことは、事業に賛同をしてくれた檀信徒等の理解も得られやすく、弊社の一つの役割でもあります。

入札の種類としては、初めから業者を指定して工事契約を行う無競争の特命入札、指名した複数の業者を競争させる指名競争入札、入札情報を公告し参加申込を募り、条件を満たした全ての業者を競争させる一般競争入札等が挙げられます。ご住職のご要望があれば、分離発注(金額が少額の工事に限る)も可能です。その際の業者との金額の折衝もいたします。

実施設計の最終段階で、入札参加工事業者の公正な選定を行います。入札参加工事業者の選定にあたっては、ご住職や檀信徒等の推薦の工事業者が少ない場合は、弊社が推薦した工事業者も合わせて、その工事業者の近年の評判や情報、各工事業者から提出してもらった工事実績や完工高など工事業者の経営状況、職人の数や工場の規模等も加味して、信頼のおける業者を5~6社を常任建設委員会で選定する場合が一般的です。必要に応じて、各工事業者が建てた建物を視察し、確認しておくこともあります。

選定する工事業者の種類としては、社寺建築専門の大工を抱える建築業者に下請けとして工事委託する大手や中堅建設業者、社寺建築専門の大工を抱える建設業者や工務店が挙げられます。遠方地域も含めて寺院建築に実績のある工事業者を選定することが大切です。

工事入札と業者決定

業者選定の完了後、設計図書等を渡して工事内容、条件、障害物の有無、搬入方法等を説明して、質疑応答をするために、ご住職の立会い(できれば事務局も立会い)のもとで、選定した入札参加工事業者を対象に現場説明会を行います。弊社では、各工事業者が顔を合わせないように時間帯を分けて個別に行っております。

事前に決めた日時(現場説明会から2~3週間程度後)までに、工事業者に減封の上で見積書を提出してもらい、事務局の立会いのもとで開封し、交渉順位を決定します。業者との交渉順位の基準は常任建設委員会で予め決めておきます。入札価格の低い順番とするのが一般的ですが、予め定めた最低制限価格や予定価格に近い順とすること等もあります。

見積書の開封後、弊社が各社の見積書を一旦持ち帰り、記載された材料や数量など内容が適正かどうかチェックし、工事及び見積内容、支払い条件、工事約款、工事保証等についても交渉順位第一位業者に確認をとります。問題がないようであれば、常任建設委員会に報告して内定となります。

全ての全社の見積もり金額が予定価格を超過している場合は、弊社が交渉順位第一位業者と交渉をするか、減額VE案(設計変更案)を作成して再入札となります。交渉順位第一位業者との交渉がまとまらなければ、交渉順位第二位業者との協議に移ります。

工事契約

工事業者の内定後、建設委員会での承認を経て、ご住職と工事業者との間で契約を行います。工事請負契約書、工事請負約款、工事費見積書、工程表等を綴ったものを契約書として、工事業者が3部(発注者、弊社、工事業者者分)作成します。一般的には長期保管が出来るように黒表紙で金文字入の製本とし、工事業者が責任をもって製作します。

契約書等のチェックは事前に弊社が行い、必要に応じて特約を定めます。例えば、雨漏れの原因となる屋根工事に関しては工事業者の10年保証としています。

常任建設委員会の立会いのもとで、契約書、支払条件、瑕疵担保責任、工事保険や保証、工事内容、現場監督の資格経歴、各下請工事業者の経歴、工事体制等を相互に確認して契約となります。

工事と工事監理

工事中は、弊社が徹底した監理を行います。監理は、高品質かつ適切な工事が行われ、設計図書通りの建物がご住職に引き渡されるようにするために、弊社が目を光らせて工事のチェックや改善指示等を行う非常に大切な作業です。設計図書との照合、工事工程の管理、コストコントロール、施工技術の検証、施工図のチェック、原寸図等の作成、ご住職との定例会議、工事や材料の検査等を行います。監理には、社内で行うものと現場で行うものがあります。この監理を怠り、工事業者に任せきりにする建築設計事務所もいると聞きますが、弊社では、現場での監理は平均で一週間に一回程度、ご住職を交えた定例会議は平均で二週間に一回程度、社内での監理は随時行っています。工事の進捗状況等は、随時ご住職にご報告を行い、何か問題などが生じれば、速やかにご対応いたします。ご住職のご要望による工事中の設計変更にも柔軟に対応し、工事費の増減が生じた場合には、工事業者と折衝をいたします。

定例会議は、工事の進捗、工事に関する質疑や問題、設備機器や仕上げの色等の決定など工事のあらゆる事項に関して協議する場です。工事が進む(建物が建つ)にしたがって、ご住職のイメージもより具体的に見えてきて、要望や変更したいこと等が出てきた場合も、この場で協議していきます。その要望や変更により、契約時から大幅な変更が生じる場合は、工事業者から見積もりを提出してもらい、弊社がチェックして、設計変更となります。軽微な変更の場合は、当初の契約金額の範囲内とします(契約時に軽微な変更は契約金額の増減なしと定めておきます)。また、面積の増減や構造の変更等の大幅な変更は、計画変更による建築確認申請をしなければならないこともあり、その場合はご住職と協議いたします。

工事業者へのお支払は、出来高払いとするのが一番安心です。出来高払いとは、契約時に工事着手金も若干支払いを行い、その後は、基礎、屋根等の各工事の進捗を確認して完了した分だけ支払う方法です。弊社が出来高や工事業者からの請求書を弊社がチェックし、ご住職に報告いたします。

工事完了検査と引き渡し(業務完了)

建物が完成し、仏具の搬入や取付が完了したら、ご住職へ建物のお引き渡しが行われます。お引き渡しの前に、工事業者に対する弊社による工事完了検査を行い、工事の不備等などが発見された場合は、速やかに工事業者に手直しするように改善指示を出します。また、弊社立会いのもとで、建築確認検査機関や消防署の建築及び消防設備の完了検査も受け、検査済証を受け取ります。

工事完了引き渡しでは、工事関係書類等(工事写真・保証書・鍵・取扱説明書等)を弊社の事前確認後に、工事業者が常任建設委員会の立会いのもとで、ご住職に書類の引渡しを行います。工事完了引渡証明書は竣工建物を法人登記する際に必要となります。ご住職は引き渡し書類等の受領書を発行します。お引渡しが完了したら業務完了となります。

一年検査・アフターフォロー(業務完了後)

竣工一年後に点検を行います。工事上の不具合があった場合、工事業者に無償で改善をしてもらいます(天災や人災に起因するものは有償となります)。万が一、設計に瑕疵があった倍のお客様への保証に備えて、建築士事務所賠償責任保険に加入しております。また、原則として、工事業者側には工事中及び後の各種保険や保証を義務付けております。例えば、雨漏れの原因となる屋根工事に関しては工事業者の10年保証を提出してもらっております。

業務完了後も、日常の維持管理や各種諸問題に対して無償でご対応いたします。例えば、東日本大震災では、ほとんどのお客様を訪問し、被害状況調査や報告書の提出、修理計画の作成、工事業者との折衝等を無償でご対応いたしました。

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